2021/10/16 12:04

突然ですが、みなさんは自分の筋肉や骨、髪の毛が何からできているかご存知ですか?


実はこれらのほとんどは、タンパク質からできています。

そのほかにもタンパク質は、身体の機能を調整するホルモンや酵素、抗体などの材料になっています。


では、そんな重要なタンパク質は、身体のなかで一体どのように作られる(=合成)のでしょうか?

細胞内ではタンパク質を合成するために、核内の暗号化された遺伝情報であるDNAをもとに、mRNA(メッセンジャーRNA)が合成されます。それが核外へと運ばれると、mRNAに記録されている情報を元に、タンパク質が生成され、これにより私たちの身体を形作り、健康的に維持しています(=恒常性の維持。ホメオスタシス)。

この詳しい流れの説明については、セントラルドグマとは?の中でも紹介しているので、詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

しかし、このタンパク質の合成ですが、常に正しく行われるわけではなく、工場でパンを作るときのように、時折、不良品ができてしまいます。また、古くなると壊れることや、たくさんありすぎると、いらなくなることだってあるわけです。
たとえば、もしその不必要なタンパク質がたまってしまうと、アルツハイマーやパーキンソン病、ハンチントン病などの神経変性疾患を引き起こしてしまう場合があり、タンパク質が合成されるときと同様に、壊されるときも、誰が(何が)・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように分解するのか、巧妙に、かつ厳密なシステムによって制御される必要があるのです。
 
では、私たちの体はどのようにタンパク質を分解していくのでしょうか。

身体の中でタンパク質を分解する巨大な酵素の複合体は、「プロテアソーム(proteasome)」と呼ばれています。

これは、少し難しいですが、

①「タンパク質を分解する能力(プロテアーゼ活性=protease)
②「巨大粒子(some)」 

この2つを組み合わせて命名されたものです。

実はこのプロテアソームが、不要なタンパク質を見つけ出すための目印こそが、「ユビキチン」なのです。この目印は、不良タンパク質だけではなく、増えすぎていらなくなった正常なタンパク質にもくっつき、プロテアソームに分解を促すという重要な機能を担っており、この発見は2004年にノーベル化学賞を受賞しています。



このユビキチンが、具体的にどのようにタンパク質を分解していくのか…この一連のプロセスについては、
第二回「ユビキチン化のプロセス」で説明する予定なので、乞うご期待…!